CLOSE

〒507-〒359-1142
埼玉県所沢市大字上新井1-45-17
大六天交差点そば

> Google mapで開く

にゃんちゃんの腎臓病について

3頭に1頭が発症する**とも言われている、愛猫の未来を守るために

「最近、お水をよく飲むようになったな」 「食欲にムラがあるけど、気まぐれなだけかな?」
その**「年のせい」「気のせい」**という見過ごしが、愛猫の命を静かに蝕んでいるかもしれません。
猫の病気で最も多いもののひとつ、それが**「慢性腎臓病」です。特に7歳以上のシニア猫では、3頭に1頭が発症する**とも言われるほど、非常に身近で恐ろしい病気です。
この病気の最も怖い点は、症状がほとんど出ないまま静かに進行する**「サイレントキラー」**であること。飼い主様が「おかしいな」と気づいた時には、腎機能の約75%がすでに失われていることも少なくないのです 。
この記事では、手遅れになる前に飼い主様に知っておいてほしい、腎臓病の危険なサイン、そして愛猫の穏やかな時間を守るための最新の治療法について、詳しく解説します。

あなたの愛猫は大丈夫?忍び寄る腎臓病の現実

猫の腎臓は、血液中の老廃物をろ過して尿として排泄する、生命維持に不可欠な「高性能フィルター」です。慢性腎臓病は、このフィルター機能が数ヶ月から数年かけてゆっくりと壊れていく病気です。

そして、一度失われた腎機能は、二度と元に戻ることはありません。
なぜ猫はこれほど腎臓病になりやすいのか、その明確な原因はまだ完全には解明されていません。しかし、加齢による腎臓の消耗や遺伝的要因、過去の病気などが複合的に関わっていると考えられています。

見逃し厳禁!命に関わる危険なサイン

猫は不調を隠す天才です。以下のサインは、愛猫からの必死のSOSかもしれません。

  • 1水を飲む量、おしっこの量が異常に増えた(多飲多尿)
  • 2食べているのに、なぜか痩せてきた
  • 3食欲にムラがある、吐くことが増えた
  • 4毛ヅヤが悪くなった、口臭が気になる
  • 5なんとなく元気がない

1水を飲む量、おしっこの量が異常に増えた(多飲多尿)

これは、最も重要で、最も見逃されやすい初期症状です。
「おしっこがたくさん出るのは元気な証拠」と思っていませんか?それは大きな誤解です。
腎機能が低下すると、尿を濃縮して体に必要な水分を保持する能力が失われます。その結果、体に必要な水分までが薄い尿として大量に流れ出てしまい、体は常に脱水状態に陥ります。この脱水を補うために、猫は必死に水を飲むようになるのです。
「よく水を飲むな」は、健康のサインではなく、腎臓の悲鳴です。

2食べているのに、なぜか痩せてきた

見た目の食欲は変わらないように見えても、体重が徐々に減っていきます。定期的に体重を測る習慣が、この静かな変化に気づくきっかけになります。

3食欲にムラがある、吐くことが増えた

今まで好きだったフードを食べなくなったり、吐く回数が増えたりするのも注意すべきサインです。体内に老廃物が溜まることで、気持ち悪さを感じているのかもしれません。

4毛ヅヤが悪くなった、口臭が気になる

グルーミングをしなくなり毛並みが悪くなったり、アンモニアのようなツンとした口臭がしたりするのも、病気が進行しているサインです。

5なんとなく元気がない

寝ている時間が増え、活動性が低下します。これも「年のせい」と片付けてしまいがちですが、重要な体調変化です。

獣医師は何をするのか?診断から治療までの流れ

「もしかして…」と感じたら、すぐに動物病院にご相談ください。腎臓病の診断と治療は、時間との勝負です。

血液検査 腎機能の指標となるBUN(尿素窒素)やクレアチニンを測定します。しかし、これらの数値が異常を示す時には、すでに腎機能の75%が失われている可能性があります。そこで重要になるのが、早期発見の切り札「SDMA検査」です。SDMAは、腎機能が25%~40%低下した、より早い段階で異常を検出できる画期的な検査です 。従来の検査より平均で17ヶ月(1年5ヶ月)も早く腎臓病を発見できるというデータもあり、愛猫の未来を守るために非常に重要です。
尿検査 尿の濃さ(尿比重)や、尿中のタンパク質(UPC:尿蛋白クレアチニン比)の有無などを調べ、腎臓のダメージの程度を評価します。
超音波(エコー)検査 腎臓の大きさや形、内部の構造を直接観察し、異常がないかを確認します。

これらの検査結果を総合し、国際獣医腎臓病研究グループ(IRIS)の基準に沿って重症度をステージ分類し、最適な治療方針を決定します。

腎臓病との共存:治療の3本柱

慢性腎臓病は完治しません。治療の目的は、残された腎臓の機能を最大限に守り、進行を可能な限り遅らせ、愛猫が穏やかで快適な生活を送れるようにサポートすることです。

  • 1食事療法
  • 2水分補給(皮下点滴)
  • 3お薬(内科治療)

1食事療法

**治療の根幹であり、最も重要な柱です。**腎臓病用の療法食は、腎臓への負担を減らすために特別な栄養バランスで作られています。
  • リンの制限: これが最も重要です。腎機能が低下すると体内のリンをうまく排泄できず、血中のリン濃度が高くなると、さらに腎臓病の進行を加速させてしまいます。食事中のリンを制限することが、猫の生存期間を延ばすことが科学的に証明されています。
  • タンパク質の調整: タンパク質の代謝で生まれる老廃物の産生を抑えるため、量を調整します。ただし、猫は肉食動物のため、単に減らすのではなく、消化しやすく必須アミノ酸をバランス良く含む「質の高いタンパク質」を適切な量だけ摂取することが大切です。

2水分補給(皮下点滴)

腎臓病の猫は常に脱水のリスクにさらされています。ウェットフードの活用や水飲み場を増やす工夫に加え、脱水が進行した場合には**「皮下点滴」**を行います 。これは背中の皮下に水分を補給する方法で、通院のストレスなく、ご自宅で行うことも可能です。

3お薬(内科治療)

食事療法だけではコントロールできない症状や合併症に対し、お薬を使用します。
  • リン吸着剤: 食事中のリンを便と一緒に排泄させます。
  • 腎臓を保護する薬: 腎臓の血流を改善し、線維化を抑制するお薬などがあります。
  • その他: 高血圧に対する「降圧剤」や、吐き気を抑える「制吐剤」など、症状に合わせて処方します。

【緊急警告】猫のいるご家庭の皆様へ:ユリは猛毒です

ユリ科の植物(ユリ、チューリップなど)は、猫にとって極めて致死性の高い猛毒です。
花、葉、茎、花粉、そしてユリを生けていた花瓶の水を一口なめただけでも、重篤な急性腎障害を引き起こします 。中毒症状は数時間で現れ、治療が遅れれば数日で死に至ります。
有効な解毒薬は存在しません。
愛猫の命を守る唯一の方法は、猫の生活空間にユリ科の植物を絶対に持ち込まないことです 。贈り物で花束をいただいた際も、必ず確認してください。

ひとりで悩まないでください。その不安、私たちにお任せください。

ここまでお読みになり、「うちの子は大丈夫だろうか」と大きな不安を感じているかもしれません。そのお気持ち、痛いほどよくわかります。
しかし、決してひとりで抱え込まないでください。私たちは、病気と闘うねこちゃんと飼い主様の、一番の味方でありパートナーです。
あなたの「あれ?」という大切な気づきを、私たちが「確かな治療」と「未来への安心」へと繋ぎます。治療計画から日々の生活のことまで、どんな些細な不安もすべて私たちにぶつけてください。
どうか「様子見」を選ばず、今すぐご相談ください。一緒に、愛猫のための最善の道を全力で探すことをお約束します。

お問い合わせ窓口

所沢地域にお住いの方でペットのことでお困りでしたら
お気軽にご相談ください。