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フィラリア予防について

春の訪れと共に忍び寄る影。愛犬の命を守るために知っておくべきこと

「少しずつ暖かくなってきたね」「今年も桜が楽しみだね」 春の訪れは嬉しいものですが、わんちゃんにとっては「ある危険な敵」が活動を開始する季節でもあります。

その敵とは、蚊が運んでくる「フィラリア(犬糸状虫)」です。
 「うちは室内飼いだから大丈夫」「去年も薬を飲んだから平気」 そのほんの少しの油断が、取り返しのつかない事態を招くことがあります。

フィラリア症は、かつて犬の死因の上位を占めていた恐ろしい病気ですが、正しい知識を持って予防さえすれば「100%防げる病気」です。 本格的なシーズンを迎える前の今だからこそ知っておいてほしい、フィラリアの恐怖と、愛犬を守るためのルールについてお話しいたします。

あなたの愛犬は大丈夫?忍び寄る「白い悪魔」の現実

フィラリア症は、蚊が吸血する際に、目に見えないほど小さな「幼虫」が犬の体内に入り込むことで感染します。 幼虫は皮膚の下や筋肉の中で成長しながら血管へと移動し、最終的には心臓や肺の動脈に住み着きます。

 

成虫になると、体長はそうめんやスパゲッティのように細長く(15〜30cm)、これらが心臓の中で絡まり合い、血液の流れを物理的にブロックしてしまいます。これが、フィラリア症が「寄生虫の病気でありながら、重篤な心臓病を引き起こす」理由です。

「室内飼いだから刺されない」は迷信です。 蚊はエレベーターに乗って高層階にも上がってきますし、人の服について玄関から、あるいは網戸のわずかな隙間から室内に侵入します。

見逃し厳禁!進行すると現れる危険なサイン

フィラリア症の最大の恐怖は、感染しても初期には「全く症状がない」ことです。寄生している虫の数が少ないうちは、見た目は元気なまま、水面下で確実に心臓を蝕んでいきます。 以下のような症状が出た時には、すでに重症化している可能性が高いです。

  • 1乾いた「咳」が出る
  • 2散歩に行きたがらない・すぐに疲れる
  • 3お腹が膨らむ(腹水)
  • 4赤いおしっこ(血色素尿)

1乾いた「咳」が出る

心臓病と同様、大きくなった心臓や血管が気管支を圧迫することで咳が出始めます。運動した後や興奮した時に「カッ、カッ」と咳き込むようなら要注意です。

2散歩に行きたがらない・すぐに疲れる

心臓の機能が低下し、全身に酸素が行き渡らなくなるため、少し動いただけで息切れを起こし、散歩の途中で座り込んだり、運動を嫌がるようになります。

3お腹が膨らむ(腹水)

重症化して右心不全(右側の心臓の機能不全)を起こすと、お腹に水が溜まり、痩せているのにお腹だけがぽんぽんと膨らんで見えるようになります。

4赤いおしっこ(血色素尿)

これは「大静脈症候群(ベナケバ・シンドローム)」と呼ばれる、極めて危険な状態です。 大量の虫が心臓の弁に詰まることで赤血球が破壊され、ワインのような濃い赤色のおしっこが出ます。この状態になると、緊急手術をしない限り数日以内に命を落とす確率が極めて高くなります。

獣医師は何をするのか?「とりあえず薬を飲む」が危険な理由

「薬さえ飲ませればいいんでしょ?」と思われるかもしれませんが、昨年の薬が残っていても、自己判断で絶対に飲ませないでください。

予防を始める前には、必ず動物病院で「血液検査(抗原検査)」を行う必要があります。 もし、万が一すでにフィラリアに感染している子に予防薬を投与してしまうと、体内の大量の幼虫が一気に死滅し、その死骸が血管に詰まってアナフィラキシーショック(急激なアレルギー反応)を引き起こし、最悪の場合、死に至ることもあります。

フィラリア予防の基本的な流れ

採血・検査 ほんの少量の血液で、現在フィラリアにかかっていないかを確認します。
お薬の処方 検査で「陰性(感染していない)」ことを確認してから、そのシーズンの予防薬をお渡しします。

ライフスタイルに合わせて選べる!予防薬の3つのタイプ

フィラリア予防薬は進化しており、愛犬の性格や生活スタイルに合わせて選ぶことができます。 投薬期間は地域にもよりますが、一般的に**「蚊が出始めた1ヶ月後から、蚊がいなくなった1ヶ月後まで」**です。毎月1回、忘れずに投与することが命を守る鍵となります。

  • 1おいしい「おやつタイプ」
  • 2確実な「滴下タイプ」(スポットオン)
  • 3手間なし「注射タイプ」

1おいしい「おやつタイプ」

お肉のような味や香りがついており、薬が苦手な子でも「ご褒美」として喜んで食べてくれる一番人気のタイプです。
同時にノミ・マダニの駆除も可能です。

2確実な「滴下タイプ」(スポットオン)

首の後ろの皮膚に薬液を垂らすタイプです。
食欲にムラがある子や、食物アレルギーがある子、お腹が弱く飲み薬が合わない子におすすめです。

3手間なし「注射タイプ」

一度の注射で12ヶ月間効果が持続します。
「毎月の投薬日を忘れてしまいそう」「薬を飲ませるのが毎回大変」という飼い主様の負担をゼロにします。

あなたの「忘れない」が、愛犬の未来を変えます。

フィラリア症は、飼い主様が「予防する」と決めさえすれば、防ぐことができる病気です。
愛犬は自分で「蚊に刺されたから薬をちょうだい」とは言えません。
愛犬の命を守れるのは、世界でたった一人、飼い主様であるあなただけです。

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