CLOSE

〒507-〒359-1142
埼玉県所沢市大字上新井1-45-17
大六天交差点そば

> Google mapで開く

わんちゃんの心臓病について

その咳、放置すると危険です。愛犬の命を守るために知っておくべきこと

犬を飼う際に気をつける点

「最近、咳をすることが増えたけど、もう年だからかな…」
「散歩ですぐに疲れるようになったけど、暑いせいだろう…」
その「年のせい」「気のせい」という思い込みが、愛犬の寿命を縮めているかもしれません。

犬の死因、第2位は「心臓病」です 。特に10歳以上の小型犬にとっては、最も身近で、最も恐ろしい病気のひとつです。
心臓病は、症状が出ないまま静かに進行する「サイレントキラー」。咳などの症状に気づいた時には、すでに病状がかなり進行しているケースが少なくありません。
この記事では、手遅れになる前に飼い主様に知っておいてほしい、心臓病の危険なサイン、そして愛犬の未来を守るための治療法について、お話いたします。

あなたの愛犬は大丈夫?忍び寄る心臓病の現実

犬の心臓病で圧倒的に多いのが「僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)」です 。これは心臓の左側にある「僧帽弁」という扉が加齢などによってうまく閉じなくなり、血液が逆流してしまう病気です 。逆流した血液は心臓に大きな負担をかけ、ゆっくりと、しかし確実に命のエンジンを蝕んでいきます。

見逃し厳禁!命に関わる5つの危険なサイン

  • 1特徴的な「咳」
  • 2呼吸が速い・荒い
  • 3疲れやすくなった(運動不耐性)
  • 4失神する
  • 5舌の色が青紫色になる(チアノーゼ)

1特徴的な「咳」

喉に何かが詰まったように**「カッ!カッ!カハーッ!」と、何かを吐き出すような乾いた咳をしていませんか? 特に夜中から朝方、または興奮した時**に咳が出やすいのが特徴です。
これは、病気の進行によって拡大した心臓が、すぐ上にある気管を物理的に押し上げ、刺激しているために起こります。
さらに病状が進行し、心臓のポンプ機能が限界に達すると、血液が肺にあふれ出す**「肺水腫」という状態に陥ります。これは陸にいながら溺れているのと同じ、極めて苦しい状態**であり、一刻を争う緊急事態です。

2呼吸が速い・荒い

眠っている時やリラックスしている時の呼吸数を数えてみてください。胸の上下運動が1分間に30回を超えるようなら要注意です。もし40回を超えている場合、心不全を起こしている可能性があり、夜間であっても救急対応が必要な危険なサインです。

3疲れやすくなった(運動不耐性)

「散歩の途中で座り込む」「少し遊んだだけですぐに息が上がる」。それは単なる老化のせいではないかもしれません 。心臓が全身に十分な血液を送り出せず、体が酸欠状態になっているサインです。

4失神する

興奮した時などに、突然ふらついたり、意識を失ってバタッと倒れたりする。これは「失神」と呼ばれ、弱った心臓が脳へ十分な血液と酸素を送り届けられないために起こる、極めて危険な症状です。です。

5舌の色が青紫色になる(チアノーゼ)

舌や歯茎の色が普段のピンク色ではなく、白っぽかったり、青紫色になっていたりしたら、血液中の酸素が極端に不足している重篤な状態です。すぐに動物病院を受診してください。

獣医師は何をするのか?診断から治療までの流れ

聴診 診断の第一歩です。心臓の弁に異常があると、血液が逆流する際に「ザーザー」という「心雑音」が聞こえます。症状が出るずっと前の段階で発見できる最初の重要な手がかりです。
レントゲン検査 心臓全体の大きさや形を確認し「心拡大」の程度を評価します。また、命に関わる肺水腫が起きていないかを確認する上で非常に重要です。
心臓超音波(エコー)検査 心臓病診断の要となる検査です。超音波を使って心臓の内部をリアルタイムで観察し、弁の動きや血液の逆流の程度を正確に評価します。
血液検査(BNP検査) 心臓に負担がかかると血中に放出されるホルモンの数値を測定します。この数値が高いほど、心臓が悲鳴を上げていることを示します。

これらの検査結果を総合し、米国獣医内科学会(ACVIM)のガイドラインに基づき重症度をステージ分類し、それぞれのわんちゃんに最適な治療方針を決定します。

心臓病との共存:治療の3本柱

残念ながら、一度悪くなった心臓の弁が元に戻ることはありません。治療の目的は、病気の進行を可能な限り遅らせ、咳などの辛い症状を和らげ、愛犬が穏やかで快適な生活(QOL)を一日でも長く送れるようにサポートすることです。

  • 1お薬(内科治療)
  • 2食事療法
  • 3運動・生活の管理

1お薬(内科治療)

心臓病の治療は、ステージや症状に合わせて複数のお薬を組み合わせて行います。
  • 強心薬(ピモベンダンなど): 心臓の収縮力を高め、ポンプ機能を助けるお薬です。ある大規模な研究では、ステージB2(心拡大はあるが症状はない段階)でこの薬を飲み始めると、心不全の発症を平均で15ヶ月(約1年3ヶ月)遅らせることができたという画期的な結果が報告されています。
  • 血管拡張薬(ACE阻害薬など): 血管を広げて血圧を下げることで、血液を送り出す心臓の負担を軽くします。
  • 利尿薬: 体内の余分な水分を尿として排泄させ、肺水腫を防いだり、改善したりするためのお薬です。この薬を飲むと尿の量や回数が増えますが、脱水を防ぐため、お水はいつでも飲めるようにしてください。

2食事療法

塩分(ナトリウム)の多い食事は、体内に水分を溜め込み、心臓に大きな負担をかけます。塩分を控えた心臓病用の療法食への切り替えや、人間用の食べ物やおやつを与えないことが重要です。また、肥満も心臓の大敵ですので、体重管理も欠かせません。

3運動・生活の管理

ボール遊びやドッグランでの全力疾走といった激しい運動は、心臓に過度な負担をかけ、突然死のリスクを高めるため絶対に避けるべきです。ゆったりとしたペースでの散歩など、愛犬の状態に合わせて運動の程度を調整しましょう 。また、興奮させすぎない、夏の暑さや冬の寒さといった急激な温度変化に気をつけるなど、日常生活での配慮も大切です。

あなたの「気づき」が、愛犬の未来を変えます。いつでもご相談ください。

ひとりで悩まないでください。その不安、私たちにお任せください。
ここまでお読みになり、「うちの子は大丈夫だろうか」と大きな不安を感じているかもしれません。そのお気持ち、痛いほどよくわかります。
しかし、決してひとりで抱え込まないでください。わんちゃんと飼い主様の、一番の味方でありパートナーです。
あなたの「あれ?」という大切な気づきを、どんな些細な不安もすべて私たちにぶつけてください。

お問い合わせ窓口

所沢地域にお住いの方でペットのことでお困りでしたら
お気軽にご相談ください。